no name

no name 8話

no name 8 私とno name ヒロムの嘆きも聞こえぬまま、戸を明けて勢いよく外へ出た。居酒屋burstの壁沿いにある鉄製の階段を目にした瞬間、私はついゴクリと唾を飲み込む。 階段を見上げると、すぐに木造の扉を発見した。あの奥にネオがいる……。 よし!と気合…

no name 7話

バイト初日の出来事 明くる日。午前中の講義を終えて家に帰ると、ベットへ横になった途端につい寝てしまった。ハッと目が覚めてスマホを見ると、時間は午後五時だった。 良かった、寝過ごすところだった。ヒロムは六時頃って言ってたし……バイト行かなきゃ。 …

no name 6話

ネオとレイの過去 「あの日のネオは、懲りずに誰もいない駅前で夜遅くまで歌っていた。俺は演奏中のネオに声かけたが、アイツは無視してな。あげくには、あっちへ行けだと言いわれたんだ」 レイは懐かしむように言った。レイに対するネオの反応は、私の時と…

no name 5話

自由参加バンドの打ち上げ スタジオreadyから歩く事20分。商店街を抜けて裏路地をクネクネ曲がると、赤提灯が二つぶら下がる日本食の出そうなお店に着いた。 築30年くらい?引き戸の上にある横長木製の看板には、英語でburstと書いてある。凄いギャップだね……

バイト初日から大騒動|no name 4話

明くる日。午前中の講義を終えて家に帰ると、ベットへ横になった途端に寝てしまった。ハッと目が覚めてスマホを見ると、時間は午後五時だった。 良かった。寝過ごすところだった。ヒロムは六時頃って言ってた……バイト行かなきゃ。 急いで着替えて1階へ下り…

名無しバントの秘密|no name 3話

スタジオreadyから歩く事20分。商店街を抜けて裏路地をクネクネ曲がると、赤提灯が二つぶら下がる日本食の出そうなお店に着いた。 築30年くらい?引き戸の上にある横長木製の看板には、英語でburstと書いてある。凄いギャップだね…と思っていると、レイを先…

名無しのバンド|no name 2話

大学へ入学した私は、何かが変わる事を期待していた。早苗に負けないようにと思い、あらゆるサークルを回ってみた。そんな日々が続いてあっという間に三ヵ月が過ぎたけど、私は相変わらずだった。 「はぁ~」 やりたい事は見つからない……私も、何かに夢中に…

平凡少女とネクラの少年|no name 1話

「進学はわかったが、しっかり考えるんだぞ?」 「わかりました……先生、失礼します」 職員室から廊下に出ると、すぐにため息が出た。 季節は12月。高校三年の放課後に進路で呼び出されるのは、クラスで私だけだった。 やりたいことなんて毎回毎回言われても…